−大谷浩己氏の著書『フランスワ インの12ヶ月』より- どのクリュを飲んでもワインを飲んでいるという感じがしなかったことだ。酒でもなく、ましてやジュースでもない。ただ、香り高く、のどごしのいい、高貴な液体があるといったらいいのだろうか。薄暗い貯蔵庫の中による宗教的な体験とでもいうようなものだった。ご主人の風貌を記憶に留め、言葉をひと つひとつかみ締めるように味わいながら、ああ、これは「南のロマネ・コンティ」だなぁと思う。